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「あ~、悪い」
笹谷は、左手で後頭部を掻きながらユウに謝った。
「まぁ、いいよ、笹から元気をとると何も残らないからな」
「ひどい…」
「そう落ち込むなよ、本気で言っているわけないだろ」
「いつも冗談キツいよ」
2人は目を合わせ、アハハ、と小さくそして短く笑いあった。
「そういやそれか?」
「あぁ、コレだ」
笹谷の右手に握られている、プラモデルを見る。
「雑誌の写真よりも細身に見えるな。」
ユウは素直に感想を述べた。
「気のせいだろう、あの雑誌が全てじゃないし。組み立ててみないと分からないからな。」
二十世紀後半から、世界に広がり始めた情報化社会の影響によって紙を媒体とする情報源は、衰退の一途を辿っていった。しかし、データ盗難などが相次いだために、現在でも紙媒体の書籍等の数は多い。
「今回は、勝たしてもらうよ」
「誰が笹に勝たすか」
そう彼ら2人は、雑誌で三ヶ月に一度行われている、年代別プラモデルコンテストに、自分が作ったプラモデルを応募し将来 、プロのプラモデラーになりたいと考えているのだ。
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