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「ふっ……、世間の目並に冷たいな」
少しアウトローな人を装ったように呟く。
白を基調とした大きな円卓が備えられている会議室には、既に何人かの人が集まっている。ただ、その誰もが、会議室にそぐわない行動をしているのだ。
一人は、黙々と携帯ゲームをしている。
また一人は、パソコンをニヤニヤしながら見つめ、マウスをクリックしている。おそらくエロゲーでもやっているのだろう。
また一人は、抱き枕を地面で抱きしめ、描かれている乳首丸出しのキャラクターとキスをしている。
また、別の一人は、可愛らしいイラストが描かれている雑誌を表情を変えずに淡々と読んでいる。
うん。今日も会議室はカオスである。周りを見れば、私物らしき物も転がっている。
知らない人が見たら、十中八九ここを会議室だとは思わないだろう。
だが俺はこのような光景など見慣れてしまっているので、特にこの状況を言及せずに抱き枕とキスをしている人へと足を進める。
「元帥、ただ今帰還しました」
そう、この部屋で一番キチガイな行動をしている人こそが、秋葉原基地の、いや連合国の軍のトップに君臨する元帥なのだ。
元帥は好青年な見てくれはしているが、既に歳は100を優に越えている。本人も自分の年齢を覚えていないとか。
「……ふ~ん」
抱き枕から唇を離し、俺の方へ目線を向けるが、一言口にすると再び抱き枕にキスをし始めた。
……こんな奴が元帥でいいのか極めて心配である。
だが元帥の年齢から分かるように、実力は折り紙付きなのだ。今は元帥という地位に着いている為、自ら出撃する事は無く、ただの変態である。だが、元帥が現役時代に敵であった兵士はこう語った。
『彼は天災である。彼が戦場に現れたら、ただただ嵐が過ぎるのを待つしかない』
そのうち、元帥が出撃するとだけ各国に伝えたら、その戦場は無条件降伏するようになったとか。
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