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「愛と正義(と破壊)の使者、マジカル☆メルトここに参上っ!」
俺は右手にに持ったステッキを頭上に掲げてから、左手を腰に当て、ステッキを正面へ振り下ろす。するとドカーンと辺りにピンクの煙り(害無し)と無数のハートと星のエフェクトがかかる。
場所は日本海上空。季節は冬で空気が冷たい。だがそこには寒さなど関係ないとばかりの無数の人影が、普通の人には見えないような速度で移動している。辺りには戦闘機の他に火や氷、雷などが無数に行き交い、一般人がいたら一瞬で蜂の巣にされてしまうだろう。
だがそこに生身でいるのは普通の人達ではない。典型的なフードやローブを被り、箒に乗っている者。はたまたピッチリとした全身タイツにヒラヒラと揺れるマント、アメコミに出ていそうな姿をした者。膝にまで届く髭を蓄えた仙人のような者。これらは“魔法使い”と言われる科学では証明することが出来ない魔を操る人達だ。
その中に見た目は十代前半であろう幼い外見をした可愛らしい衣装を着た人物が派手な演出をし、乱入してきたのだ。
『なっ、奴がきた……』
『クソッ、だから日本海には行きたくなかったんだ』
『来たぞ……魔法少女が来たぞ!』 俺の登場により、辺りの様子が一変する。さっきまで入り乱れていた戦場が、ユーラシア大陸寄りと日本寄りに大きく二部されたのだ。
そして恐怖と畏怖の声はユーラシア大陸寄りから、安堵と安心の声は日本寄りから聞こえている。
「私が来たからにはもう大丈夫! 悪い奴らは追っ払っちゃうんだからっ!」
そう俺は声高らかに綺麗なソプラノボイスで宣言すると、ステッキを相手に構える。
相手は俺の構えに慌てて散り散りに逃げようとするが、もう遅い。
さぁ……お掃除の時間だ。
「い~く~わ~よっ! 『トロピカルビーム』!!」
俺の声の直後、杖から直径1kmはくだらない、極太のトロピカルな光線が発射された。
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