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◇◇◇◇
ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃいい!!
場所は旧日本国の都市、秋葉。隕石の直撃により崩壊された街は、今では再建され以前の景色を取り戻している。この場所を俺は空から見下ろしている。
四方八方から聞こえてくる歓声。下を向けば虫のような……おっと、たくさんの人々が両手をはち切れんばかりに振りながら声の限りを尽くして俺に歓声を送っている。
「み~んな~! 応援ありがとう! 皆の応援のお陰で今日も勝てたよ!」
赤と白を基調としたフリフリの誰が見ても魔法少女と答える様な服を着て、右手にはハートのステッキ。髪は赤髪でポニーテールにしており、顔はまだ幼さの残る十代前半か。テンプレ魔法少女といったような風貌をした俺が虫の……皆の歓声に答える。
「「「ブヒィィィィィィィィィィィィイイ!!」」」
俺の声を聞き、更に歓声は大きくなる。
俺はその歓声に見送られながら、ビルの十階に開かれたハッチの中へと帰還した。
◇◇◇◇
「お疲れ様です」
「よきかなよきかな」
最終拠点地BXネオ、通称『秋葉原基地』の作業員の労いの言葉を優雅(?)に返す。
ビルを買い取り、基地とした秋葉基地の内装は簡素だ。そこらのビルに入ればこの基地と同じ内装など簡単に見れるほどに簡素だ。そこには基地としての設備はほとんどない。
ただ十階だけは魔法使い達が飛び立てるようにハッチと広い空間が広がっている。
秋葉基地は十階以外は普通なのだ。そう“地上”は。
俺は少女の姿のままルンルンの隅に設置されているエレベーターへと向かう。その間にも何人かの作業員に声をかけられたので、テキトーに返事を返す。
「ポチッポチッポチッとなっと」
エレベーターのボタンは地下1から10階まであり、俺は地下1階のボタンを連続で五回押す。
するとどうだろう。今まで地下1から階10までしかなかったボタンが地下5階まで増えたのだ。正確には浮かび上がったというのが正解だろう。
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