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腹と、右足、額からも血が流れている。
このまま病院に連れて行かなければ、後数時間で死亡するだろう。
俺は惚れた女が瀕死の状態であるというのに、そんなことを考えていた。
「私…貴族様のも、のを盗んだ、んです…。」
「あぁ、だから俺はここに来た。」
「ごめん、なさい…。
でも、私…あのパンをみんなで分、けて、みんなの嬉しそ、うな顔が見、れて、とても良、いことをしたんだ…な、と思ったんです。」
「…」
「だ、から、後悔なんて、してま、せん。
私、変…ですよね…。」
ああ、こいつはなんて優しいのだろうか。
そして、なんて愛しい…。
「でも…っっ!」
シードの頬に一筋の涙が通った。
「私は、罪、を犯しまし…た。
でも、私は…私はっ、本当に悪人なんです…か?」
俺は、シードに返す言葉が見つからなかった。
fin.
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