裕太

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  私がこの子を産んだのは、6年前。   この子の父親は、 三年程前に私とこの子を残して、他の女性と逃げた、行方は今も分からないまま。   皮肉にも今やっているゲーム機は、裕太が3つの誕生日に彼が買ってくれた最後の裕太へのプレゼントだった。   私のこのゲーム機への思い出は、まだ3つの裕太が、ゲーム機のコントローラを握りしめ、夜遅くまでテレビの前で、待っていた幼い後ろ姿だ。   「パパ、遅いね、」 と裕太は、何度も何度もスイッチを入れては消し言っていた。     今日でもう一週間が経っているのに、 3歳の裕太には、父親と毎晩、遊んだゲームがよほど楽しかったのだろう。   私は、色々と探して見た心あたりを。。   彼の会社に訪ねて行つた時、原因の確信をえた。。   会社の上司の係長の話しでは、 「新入社員の女性社員ともう一週間も連絡なしで休んでいる。」と言う話しだ。   このままでは、会社をクビになると告げられ、連絡が有れば会社の方へお知らせ下さい、と言う話しだった。。    
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