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『そんな炎でサタンを倒せるの?』
目の前に広がる青い炎(うみ)。
その中に、一人。
『そんな心構えで何が出来るの?
返って、自分も、周りも傷付けるだけだと気づかないのかな?』
金縛りにあったかの様に、身体が動かない。
ここから逃げたくても、逃げられない。
『ただの足でまといになるなら、この物質界にも、虚無界にもいらないよ。
いっそ、死んでくれ、兄さん。』
「雪男…………何言って…、」
立てなくなるほど力が一気に抜けて行く。
燐はその場にへたりと座った。
『あぁ……、自分で消えるのが怖いの?
なら、僕が殺してあげる』
雪男に首を掴みあげられ苦しくなる。
「ゆきッ………!!は、なせっ!」
抵抗しようとあがこうと、腕力が強すぎてびくともしない。
薄気味悪く笑う雪男の頭には青い炎。
視線を下に反らせば、そこには悪魔の象徴とも言える尻尾が。
あぁ…………守れなかった。
俺が、頼りないから………
『じゃあね、兄さん』
抵抗出来る力は既に失われ
この炎の海で逝くなんて………
雪男は笑みを浮かべながら銃を燐の頭に突き付ける。
燐は目を固く瞑った。
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