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幼稚園の帰り道。
ずっと心臓が激しく高鳴る。
皆から見られてる感…
誰かに見られてる感…
ふたりの距離感…
龍次の知らない所で他の男性と歩いてる罪悪感…
特別なにかをしてる訳じゃないけど。
胸が苦しくなる。
美愛と希だけの声が賑やかに聞こえた。
「…こんな所、誰かに見られてたら誤解されるんかな」
佐久間は、冗談ぽく口にした。
それにたいして。ただ、顔を真っ赤にしてうつむくだけだった。
「美愛ちゃん、お家どこなの?」
「そこを曲がった所だよ~」
中間地点あたりで、足をとめた。
「じゃぁ、ここで。希、バイバイは…」
「バイバイ。美愛ちゃん。明日ね」
希ちゃんのバイバイに。
今にも、泣きそうな美愛。
「美愛、明日も幼稚園で会えるよ」
嫌々 目をこすりながら、手を降って別れた。
「明日も、希ちゃんと帰りたい」
「帰れたらね」
一緒に帰るのが嫌な訳じゃないんだよ…
ドキドキ。
佐久間さん。
明日も、来るのかなぁ~。
あ、私。
何、考えてるの。
佐久間さんには、奥様がいる。
私には、龍次。
何ひとつ、今の暮らしに不安なんてないのにぃ。
どうして、今日会ったばかりの佐久間さんが気になるのぉ。
頭から消えさりきれない思いに困惑。
こんな調子で龍次に顔合わせられないよぉ。ただ、時間だけが進んでいく。
気持ちは半分上の空。
🎵🎵…
「ママ、電話~」
「ありがとう」
❤前原 夏希❤
あ、忘れてた。
電話越しに叫ぶ、夏希の声が頭によぎった。
恐る恐るでる。
「…もしも」
「何時まで待たせるのよぉ~。ずっと携帯眺めて待ってたんだからぁ。」
「ごめん」
いい訳とかじゃないけど。
電話する事を忘れた理由を話すのをやめた…
いろいろ、質問攻めに。
そして、全て包み隠さず打ち明けた。
「なるほどね~、でこの先どうするの??」
「…この先」
「そうだよ。今日みたいに一緒に帰ったりするの? いくら子供の為だからって。異性だよ」
「そうだよねぇ~」
夏希が気にするのも無理もない。
相手が男性だからだ…
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