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「明日も、佐久間さんが来るとはかぎらないし~」
自分に言い聞かせるようにも聞こえる。
「あ~…奥さんいるんかな」
「…いるよ。夏希も朝見たじゃん。
門の所で園長先生と話してた人」
「ふーん…」
一気にテンションが下がった感が受話器越しに伝わった。
「佐久間さん、夫婦仲上手くいってるかな?どう思う?」
えッ。
いきなりの直球な質問。
「どうだろう…なんにも聞いてないよ」
「一緒にいて、そういう話はしなかったの?」
「してないって…。今日会ったばかりの人だよ。お互いの夫婦の話題になんないよぉ」
ただでさえ、隣にいるのに精一杯だったんだからぁ。
話なんて…
緊張して喋れなかったしぃ。
「そっかぁ。真里愛、ああいう~かっこいい人苦手だもんね」
「そういうこと…」
ああいう時、夏希の図々しい性格が羨ましいって思う。
私も、図々しい女になろうかなぁ。
「真里愛ってば。聞いてる?…佐久間さんとのことめりはり付けた方がいいよ。私と違って真里愛は愛する旦那様がそばにいるんだから。誤解されないように、気をつけるんだよ。」
夏希の真剣な口調が心を苦しくする。
「…そうだよね。ねぇ。夏希。男と女の間に友情ってあると思う」
「ない!」
即答で返ってきた。
「どうして?」
正直なところ。
同じ気持ちだった。
だけど、違う答えを求めてた。
友情が存在するなら…
その関係でもいい。
愛する事が出来ないなら、友情でいい。
そう思った。
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