運命の悪戯

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「いっけねぇ、会社に行かないとッ」 あわてて二階に戻り、仕事姿で玄関に駆けつけた。 「はい。カバンとお弁当」 「ありがとう」 「パパ、いってらしゃい」 ちょっと寂しそうな表情で龍次に抱きつく美愛。 それを見て麻里愛も。 「龍次、いってらしゃい。早く帰って来てね」 龍次の体、暖かい。 ずっと、こうしていたいよぉう。 腕時計に目をやり、麻里愛の身体をゆっくり離した。 「あぁ。じゃぁ、いってくる」 うん… 美愛の手前。 今日はなしかな… 「あ、忘れ物」 「なに?」 龍次の顔が近いッ。 ドキン 「…気をつけてね」 「じゃぁ」 おデコに手をやる 忘れ物って きゃはッ 「ママ、ラブラブ~」 龍次、大好き。 胸がきゅんと暑くなった。 こうして一日がまた始まった。 「ママ、幼稚園」 「ご飯、食べ終わったら着替えようね」 美愛は、デーブルに戻り。おにぎりをほうばる。 二階のふたりの寝室に戻り、龍次が脱ぎ捨てていった服を拾う。 とりあえず、簡単に片付けとかないと。 「ママ、ご馳走様でしたぁ」 美愛の部屋に行きすばやく用意。 「着替えよう」 「ママ、今日ね。新しいお友達が来るんだよ」 「そうなの。よかったね。男の子かな?女の子かな?どっちかなぁ~」 「女の子がいい!」 段違いになったボタンをなおしてあげる。 「どんな子かな。楽しみ~ 早く見たい。見たい」 「出来たぁ。じゃーぁ。ちょっと早いけど幼稚園にいってみる?」 「うん」 余裕あるし、美愛がこんなに楽しみにしてるし。 私も、気になるし。 最後に戸締りを見渡して自転車に。 「おはようございます。」 横から、聞いた事ない透き通るような声が。 「お、おはようございます」 誰?? 始めて見るけど。 思わず上から下まで見てしまうくらい綺麗な女性が挨拶をしてきた。 綺麗。 私とは比べ物にならないくらい綺麗な人。
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