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「だって…好きなんだもん
それでも、好きなんだもん…」
いらつく。
なんでこんなに腹が立つのか。
フィルターギリギリまで燃えた
煙草に唇をつけ一気に吸った
肺に広がる、メンソール。
吐いた息は白く
空に滲んでいった
「…俺にしとけよ」
ずっと触りたかった白く細い腕を掴んで
嫌がる彼女を無理矢理抱き締めた
「絶対、泣かせないから。」
自分の声が掠れていて
泣きそうな事に気付いた
「…離して…」
俺の胸を押し返して
彼女の形のいい唇から出た言葉は
消え入りそうな程小さくて
震えていた
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