2.わたしたち と 彼女の世界

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「それにしても、10分以上遅刻するだなんて…こりゃお仕置きしないとだね…ふふ」 「ちょ、しのぱ!?目がマジだよう!?;;」 「いーのいーの、だって玲音だもの(笑)(笑)」 「もう、相変わらずいじわるなんだから…」 そんな会話を交わした直後だった。 初めて、声が聞こえたのは。 ―゙はの。゙ 「(え……?)」 相変わらずの喧騒の中だけれど、はっきりとわたしの名前を呼ぶ声がした。 透き通る様な、とても綺麗な女の子の声。 知り合いに呼ばれたのかと辺りを見回してみるが、声の主は何処にもいない。 しきりに辺りを気にしていると、わたしの様子を伺うしのぱと目が合った。 「どしたん?」 「今、誰かに呼ばれた気がしたの…」 「へ?…玲音、…はまだ来てないよね」 「でも、ほんとに聞こえたんだよ」 「…ふむ」 しのぱは顎に手をあて、考え始めた。 彼もわたしと同じように辺りを見回しているが、特に変わった様子は無いと感じたようだ。 少し眉を下げながら、困ったような表情をわたしに向ける。 「…空耳かなんかじゃない?」 「う、うん……そう、だよね」 ゙はの。゙ 「―!!」 さっきよりもクリアな響き。 やっぱり空耳なんかじゃなかった。 ゙良かった、私の声が聞こえるのね゙ ゙もう、知らんぷりなんて酷いわ。゙ ゙突然私に呼ばれて、驚いているのはわかるけど…゙ 「はのちゃん…?」 「……玲音、ちゃん」 少し短めの黒髪。 目付きが悪い、と彼女自身言っているジト目のグレーの瞳。 黒のシンプルなタイトワンピース、そしてその上に黒のロングジャケット。 黒のオーバーニーソックスを左足だけ履いて、わたしの前に佇む少女の姿。 撃剣士の『玲音』ちゃんが、心配そうにわたしを見ていた。
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