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「どうかしたのか?」
「…ううん、なんでも…ないよ。ちょっとぼーっとしちゃってたみたい」
わたしは、苦笑を交えてそんな言葉を返す。さっきの声の事については、誤魔化しておくことにした。彼女にまで、余計な心配を掛けたくはなかったから。
それでもしのぱは、わたしの様子を気にしていたみたいだったけれど。
玲音ちゃんはじっ、とわたしの顔色を伺った後、安心したようににかっと笑った。
「ん、そっか。それならいいんだけどさ…二人とも、遅れてごめんな!」
「だいじょぶだよ!気にしないで^^*」
「はのが許してもボクは絶対にゆるさない」
「なっ」
「このボクを毎度毎度待たせて…どんな惨めな目にあわせてやろうかな…きひっ」
「や、やめろその笑い方!!こわいから!!シャレになってないから!!」
「しのぱ…あんまり意地悪しちゃ可哀想だってば;」
しのぱが悪い顔を見せると、玲音ちゃんは少し青ざめながら後退りをする(多分本気で怯えてるんだと思う)。
いつものやりとり。
わたしはそんな二人の様子を見てはくすりと笑う。
だけど、その時のわたしはあまり楽しそうな顔はしていなかっただろうな。
゙貴女には面白いお友達がいるのね゙
゙これからジョブエクステンドなの?頑張ってね、はの゙
゙上手くいくように祈ってるわ゙
だってわたしの頭の中で、未だ知らない女の子の声がずっと響いていたから。
「ふむ…案外早く終わったね」
「だな。今日ははのちゃんの勘がすげー冴えてたからな!全然迷わないでボスに辿り着いちゃうし」
「えへへ。なんか今日は調子いいみたいなの」
クエストに出発してから10分もしないうちに、わたしたちはタウンへと帰ってきた。
今回のジョブエクステンドのクリア条件は、ダンジョンの最深部にいるボスの討伐だった。
ダンジョンの内部は行き止まりがあったり、いたるところにトラップがあったりするんだけれど、今日は一切迷うことなく、ボスの元へたどり着けた。
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