2.わたしたち と 彼女の世界

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感心したように話す二人に向けてわたしは若干得意気な調子でそう言ってみせる。 「でも確かに、いつものはのなら迷ってばかりだもんね」 「ひどいよしのぱ…いつもって訳じゃないでしょー??´`;」 「あっるぇー?この前洞窟エリアでボス討伐のクエストした時、30分近くエリア内さ迷ってたの誰だったかな」 「…(´;ω;`)」 「加えてモンスターの不意打ち食らうし、トラップに見事にはまってたのも、どこのはのっていう人だっけかな」 「う、うわああん(ТдТ)」 「おいこら、はのちゃんを泣かせんなよ鬼畜眼鏡」 「…じゃあ変わりに泣いてみる?」 「スミマセンでしたシノ樣」 「それでよし」 くく、と意地悪な表情で口角を上げながら、黒いオーラが見えてきそうな雰囲気を纏うしのぱが笑う。 玲音ちゃんが青ざめながらまた数歩下がる。 相変わらずの雰囲気に、自然と笑顔を溢すわたしがいた。 ジョブエクステンドは、本当はもっと大変なクエストなのだろう。わたしはそんなことを考えていた。 ダンジョンの構造も通常のエリアよりも複雑だったし、ボスの強さもなかなかのものだったと思う。でも、この二人がいたからクリア出来たんだ。 先陣を切って敵に斬り込む玲音ちゃん。 強力な魔術を使う、しのぱのサポート。 きっとこれ以上に、心強いものなんてない。 「しのぱ、玲音ちゃん。ほんとに、ありがとう」 わたしは二人に向き直り、そう一言お礼を言った。 どういたしまして、はのちゃんの力に成れたのなら良かったぜ、と二人らしい返事をもらえた。 二人は、クエストの呆気ない終了に物足りなささえ感じているみたいだったけれど。 それでも、わたしは嬉しかった。 そんなことを考えながら、しあわせな気分に浸っていた束の間。 わたしの頭の中に、あの女の子の声が響いた。 ゙ねぇ、はの?私にお礼は言ってくれないのかしら゙ ゙誰が道案内してあげたと思ってるのよ゙ 「(……)」 それは、若干不機嫌な声。 最もな事を言われたわたしは、それ以上何も言えなくなってしまった。 私は先程の事を思いだす。 そう、実は。 ゙はの、そこにトラップがあるから気をつけで ゙そっちは行き止まりよ?゙ ゙そのボスは遠距離攻撃に弱いのよ。お友達の眼鏡さんに攻撃中心にサポートしてもらったほうがいいかもね゙ クエスト中、わたしは、ずっと彼女の声に導かれた通りに行動していたのだ。
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