2.わたしたち と 彼女の世界

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「(…ありがと、勿論あなたにも感謝してる)」 ゙どういたしましで わたしは心の中で、そう彼女の声に答える。 彼女は機嫌を直してくれたようでそう一言返してくれた。 彼女曰く、わたしが彼女に伝えようとイメージした言葉は、不思議なことに彼女に伝わるらしい。 クエスト中にその事実を言われた時は、言っている意味が分からなかったけど。 最初はおかしなこの幻聴を無視してしまおうか、とも思った。 少し疲れているんだ、早く休まなきゃ、ごめんね、今日はもう落ちるね、と、二人に言えばそれ以上彼女に関わることはなかったのかもしれない。 でもわたしは、彼女に聞きたいことがあったから。 彼女の声が、何故わたしにしか聞こえないのか。 どうしてわたしの手助けをしてくれたのか。それは一体何の為? それ以前に、どうして彼女は見えない存在なのか。 「それにしても」 「な、なにかな?玲音ちゃん」 玲音ちゃんがわたしの方をまじまじと見つめている。 いきなり話を切り出された上に、わたしの方を見てきたものだから焦りから少し声が上擦ってしまった。彼女は気にして無いみたいだったから良かったけれど。 「はのちゃんのPC、また一段と可愛くなったよな」 「…うん、それはボクも思う」 「そうかな、そう言われると嬉しいかも´`*」 わたしは二人の前でひらりとターンしてみせた。 髪型は、栗色の長いツインテールのままだけれど、頭の撫子のカチューシャが、前のリボンカチューシャ違う、少し落ち着いた印象を醸し出す。 黒のゴスロリ風の着物は黒の袴へと変わった。成人式なんかでよく見る、あんな感じの和服。 でもそれもゴスロリ風にアレンジされているから、フリルとかレッスンとかが所々にあしらわれているから、やっぱり幼めに見えるのかもしれない。 一番特徴的なのは、袴の丈の長さが違うところ。右脚側の裾は一般的な袴の長さだけど、其処から延長線に長さが短くなっている。その為、左脚側の袴の丈は膝上10センチくらいの長さしかない。 わたし自身はとても気に入ってはいるけど、やっぱりこれって短すぎるのかな、と思えてきた。
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