1.opening

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夕暮れ時。 日に日に肌寒くなり、日が短くなっていく中、人々は寒さに身を縮ませながら帰路を着くため足早に歩いていく。 とある駅。 そこまで大きくない駅だが、帰宅する学生や会社員でそれなりに混み合っていた。 丁度ホームに電車が到着した時、扉が開くと同時に席を求め、足早に乗り込んできた三人組の姿。 小さめの鞄を肩に下げ、大量の資料や文献入りのアクティブバッグを抱えた三人の男子学生だった。 私服姿の彼らは肩を並べ横一列に座り、今日の講義の内容がどうだったとか、課されたレポートをいかにして上手く仕上げるか等の学生らしい談笑を始めた。 「でさ、教授からいきなり課題出せとか言われてさ…」 「なんだそれ!?無茶ぶりにも程があるな…」 「そうなんだ…大変なんだね、その授業。僕とってないからわからなかった…」 その内の一人、唯一彼らの中で眼鏡をかけた青年は、二人の友人との談笑を楽しみつつ、時折あるものへと目を向けていた。 それは、丁度向かいに座る制服姿の少年が手に持っているゲーム誌だった。 来年度発売の次世代ゲーム機の告知以上に目立つ色と大きさのゴシック体の文字が目についたらしい。 そこにはこんな文章が見えた。 "世界最大のMMORPG『The World』、ついに総プレイヤー数1000万人を超える!゙ 『The World』とは、CC社(CyberConnect Corporation)が製作・運営する世界最大のMMORPGである。 リアルなグラフィック、豊富なクエストやキャラメイキングの自由性などの要素が評価され、多くのユーザー達を魅了して止まない。 「(へぇ、結構増えたねー…)」 眼鏡の青年は、ぼんやりとそんな事を考えながら、いつの間にか友人二人との談笑に入る事を忘れていた。
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