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思い
燿輔は次のキャンプまで地元でトレーニングするため身支度をしていた。
そこに携帯が鳴った。知らない番号だ。
「...はい,もしもし」
「ぉう!金村やけど!北川から番号聞いたんや!飲みに行くぞ」
「あっ...わかりました」
10分ほどで北川が迎えに来た。
「あれ?金村さんは?」
「いやもう飲んじゃってるから。俺が迎えに来た」
北川の車に乗り金村の待つ居酒屋に向かった。
車中,北川が切りだした。
「カネのやつ不思議だろ?」
「えっ?」
「あんな球持ってるヤツがプロに行かないのが」
「確かに。シートバッティングで打撃投手してもらってる時も軽く腕振ってるのにほとんど差し込まれました」
「あいつはレジェンズに対する気持ちが強すぎるんだよ。高校でカネと同級生だったんだけど,あいつ怪我ばっかりで全く活躍できなくてな。拾ってもらったレジェンズで優勝するまでは絶対プロには行かねえってな」
「そうだったんですか...。北川さんは何で選手辞めちゃったんですか?」
「まぁ俺は投手だったんだけど肩をイカしちゃってな。トレーナーの資格取っていずれかはプロをサポートできるくらいのトレーナーになろうと思ってる。元々カネの2番手投手であいつが怪我ばっかりだから俺ハリキリすぎちゃったのよ」
「...もぅ未練ないんですか?」
「ないね。野手を考えた時もあったけど社とか見てたら絶対無理ってわかったしね。でもそれなりに楽しい野球人生だったよ。逆に今は燿輔達をサポートするのが俺のホジションだから。今は自分の仕事に誇りを持ってる」
燿輔は深く考え込んだ。
しばらくして居酒屋に到着した。
中に入るや否や金村は既に酔っ払っていた。中には河合や新人数人が既に一緒にいた。
「おう!波多野!俺はレジェンズを愛してる!!今年は絶対優勝するぞ~~~!!そのためにはお前ら若い力が必要だ!頼むぞ~~!!」
燿輔は一瞬ためらって金村と肩を組んだ。
「やりましょう!!絶対優勝しましょう!」
他の新人達はあっけらかんな顔をしている。北川は後ろで爆笑している。
「よっしゃ!お前ら飲め~~~!!」
金村の合図と共に全員が飲みだした。
夜が明けるまで全員で飲み明かした。
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