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その日の放課後は、なぜかすぐには家に帰りたくなかった。
だから僕は、いつもは通らない、少し遠回りな道で帰ることにした。
空を見上げると、次第に夕日が沈んでいき暗くなっていく。
「あれ、道に迷ったかな」
普段通らない道のせいか、僕は道に迷ってしまったようだ。
ふと街外れにある山を見ると、
「あそこはたしか……」
廃工場に明かりが灯っていた。
その廃工場からは何故か、そこはかとなく興味を掻き立てる雰囲気がしていて、僕は行ってみることにした。
廃工場に着くと、中からは不気味な叫び声の様な音が聞こえた。
(なんだろう?)
直感的に危険だとはわかっていても、僕は中を覗くことを止められなかった。
「──!?」
中を覗いて見てみると、そこには音の正体であろう生物と、傷だらけの女の子がいた。
生物……いや、化け物は全長3メートルはあるであろう身体で、腕や脚は人間の胴体くらいの太さはある。首も太く長く、先端に巨大な口が裂けている。
なんだよあの化け物……それにあの女の子、今にも喰われそうじゃないか。
喰われそうになっている女の子は、同い年くらいの体躯で、ピンク色のロングヘアを肩のあたりで2つに結んでいる。服はボロボロで、靴も履いていない。
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