第九章 私の恋 ~麻衣子Side~

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オフィスのみんなからはクッキーやゼリーの詰め合わせ…。 藍子に食欲がないって言っちゃったから、心配してくれたんだね。 それから、イベントの参加手当…………? あれ?そういえばイベント当日にも貰ったのに、またくれたの…? 包みを開けたら、あの百貨店のタオルだった。 それからもう一つ、同じ紙袋に小さな箱が入っていた。近くの雑貨屋さんの包み。 何だろう………?? ゆっくりリボンをほどいて包みから中身を取り出した。 小さな箱から出てきた物。 ソレを見て涙がジワジワと込み上げてきた……。 青木が…買ってきてくれたの……? バカだなぁ……あいつ……。 涙を堪えながらも、笑えてくる………。 でも私の事を思って買ってきてくれたんだよね…? 嬉しくて嬉しくて、とにかく青木にもう一度会いたくなって部屋を飛び出した。 部屋着のまま、鍵もかけずに、青木がくれた物だけを手に持って。 バス? 電車? どっち…? アパートの階段を走り降り、青木を探して夜の町をとにかく走った。 でも青木はどこにもいなくて、 その時に携帯を持ってない自分に気付いて、ガックリと歩道に座り込んだ。 携帯を置いてくるなんてっ……。 勢いで出てくるんじゃなかった…。 青木も…どうしてこれを買ってきてくれた事、何も言わなかったの……?? ありがとうって…青木の気持ちが嬉しいって言いたかったよ…。 せっかく家まで来てくれたのに、 何で追い返すような事をしちゃったんだろう………。 優しい自分で迎えてれば、青木ともっとたくさん話しができたのになぁ。 バカだなぁ……。 本当にバカだよ……私…。 青木に会いたい………。
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