ヴォルール・ハロウィンとオルゴール

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「っと」 屋根が途切れ、路上に降り立った。静かなひんやりとした空気に包まれる。 発砲音はいつしか止み、どうやら逃げ切ったらしいと安堵した、瞬間。 「っ!?」 ひゅんっ、と耳元で風が唸った。なにかがかすめたのだ。 「大丈夫? お嬢さん」 「だ、大丈夫……」 “なにか”が向かった方へ目を向けると、矢が地面に突き刺さり、余韻に細かく震えていた。 「よう」 明らかに少年よりも高齢の――低くかすれた声が耳に届いた。 カッ、と硬質な足音が響き、物陰から黒ずくめの人間が現れた。 その手に握られているのは……。 (ボウガン?) 「今日は女連れかぁ? ヴォルールよぉ」 「なんだ、“狩人”か。一年ぶりだね。元気だった?」 黒ずくめの男の声に、わたしを後ろに押しやった少年はいたって飄々とした口振りで返した。
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