12人が本棚に入れています
本棚に追加
と思うと、男も短剣を取り出し、突き出されたナイフを受けとめる。
決してちいさくはない――人くらい簡単に殺せそうなナイフが弾き飛ばされ、月の光を反射してぎらりと鈍く光る。
残ったもう一方のナイフで斬り掛かるも、すぐに弾き返されてしまう。
けれどすぐに、次のナイフを取り出し飛び掛かる。
人外であるわたしでも、目で追うのがやっとの攻防が続く。
少年の方はスピードが、男の方はパワーが勝っているのは、誰が見ても明らかだった。
「ッははっ」
「クククッ」
ときおり頬や耳を刃がかすめ、赤い血が舞う。
ハロウィンの夜。人気のない路地裏で繰り広げられている闘いは、殺し合いとしか言いようがなかった。
最初のコメントを投稿しよう!