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「Trick or treat!」
ふいに聞こえた、その声。
暗闇のなか響いた、少年の声。
「……な、に?」
人の言葉を発するのは久しぶりだ。うまく声が出ない。
「おじゃましてまーす。っと、きみ、知らないの?
『Trick or treat』。今日はハロウィンだよ」
無邪気に笑いながら(見えてはいないけれど、おそらく笑っているのだろう)、少年が言った。
「はろ、うぃん?」
鉄の匂いがした。
「えっ、知らないのかい? そんなもの被ってるのに?」
「かぶって、る……?」
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