ヴォルール・ハロウィンとオルゴール

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まだ頭がぼんやりしている。薬……そうだ、変な薬を嗅がされて、ずっと……。 「……あなた、だれ?」 「ぼくはヴォルール・ハロウィン。ハロウィン限定の怪盗さ。あらためてよろしくね。きみの名前は?」 「……知らない」 「うそ。いじわるだなぁ。きみを助けに来たのに」 「え?」 少年を、まじまじと見つめる。 つかみどころの無い笑みを浮かべる黒髪の少年。 彼から香る、この匂いはなに? 鉄の匂い。いや――違う。 「あ、気づいちゃった?」 くすりと笑い、少年が手をこちらに見せる。 きれいな長い指は、赤い液体に濡れていた。 血……! 「きみは、この家の金持ちに捕まった。だろう?」
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