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こくりとうなずくと、さらに続けた。
「嫌~な金持ちにして、珍品コレクター。それも、裏オークションの常連ときた。彼の家族も共犯。一家そろって極悪人さ」
「だから……殺したの?」
「一人だけだよ。
それにしてもさ、きみに人化の術をかけてこの牢屋に閉じ込めたんだよ。恨まないのかい?」
「……」
恨みなど……とうの昔に捨て去った。
「人は、なにかを間違えるわ。そうして、自分自身を傷つける。……だけど、」
少年の表情は動かない。
無表情のまま、血に染まった自らの手を眺めている。
いつか見たことのある、氷の瞳とはまた違う、からっぽの瞳。
「わたしは人を、いとおしいと思うわ。笑って、泣いて、喜んで、悲しんで、怒って、恨んで、裏切って、でも、愛して。そんな人間を」
「詭弁だよ」
細められた瞳に、冷たい炎が宿った。
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