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「お、おろし……っ」
「暴れたら落とすよ?」
わたしを片手でかつぎなおすと、開け放った窓から勢い良く飛び出した。
「わ、あ……」
外は、夜だった。
秋の冷たい空気が肌をさす。
風が強く吹いて、雲の切れ間から満月がのぞいた。
牢屋は屋敷の高い階にあったらしく、少年はどこかの屋根の上に着地した。
眼下には、夜の闇と、それを切り裂く赤いライトが見える。
「さぁて。逃げようか、オルゴールさん」
「その呼び方はちょっと……」
なんだか悔しくなって、小声で抗議する。
少年が「だって……」といいかけたそのとき、パンッ! と破裂音が聞こえた。続けざまに銃声が響く。
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