何もできなかった

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―1週間後、俺は担任に呼ばれた。 「佐川くんの学力だと徳川高校に行くのは厳しいわね。部活である程度成績を残していれば推薦で入れるのだけれど…。」 俺は悔しかった。 だが元々徳川高校は偏差値55とそこそこな高校だ。 スポーツ枠もあるが県大会にすら行ってない自分が推薦を取れるわけもない。 「本当に行くことはできないんですか!?」 走る気持ちは誰よりも強い。だが、まだ活かせていないだけだ。 「だから無理だってば。この南高校や農業高校なら陸上部もあるわよ。」 2つとも陸上では名のない高校だ。俺はそんな所には行きたくない。 「あ、そうそう、こんな高校もあったわ。」 書類の入った鞄からピカピカの1冊のパンフレットが出された。
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