ガム

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入学して間もなく、チロと数回しか会話を交わした事が無い頃のはなし 朝、学校に行くと チロが俺の席に座ってた 『神崎さん、どいてくれない?』 俺のこの柄の悪い顔と長身、低く冷たい声を浴びて、どかない奴なんてそうそういない 『……』 前言撤回 ここにいたわ 完全に無視されています チロは仕切りに口を動かし ひたすら空中を見ていた 視線の先には天井からぶら下がった蜘蛛 無視されてイラついたので、その蜘蛛を握り潰した きゅっ 怒るかな? 悲しむかな? 笑うかな? どんな反応をするかワクワクして、チロの顔を覗き込んだ
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