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ダオス空軍基地 第6戦闘機群 格納庫前
「あ~もぅ!ムカつくわ!!」
そう叫びスパナを握る手に力を込める。
声の主はグラス伍長だ。
彼女が憤慨しているのは減俸をくらったからだ。
「まったく、俺は待てと言ったのに。俺まで減俸されたじゃねえか」
隣を歩くクランツ曹長が無精ヒゲをさすりながら肩を落とす。
それに対してグラスはウッと変な声を出すと、
「そ、そ~いえばあの飛行機、いったいどこの所属でしょうかね?」
と話題を変えた。
「そうだな。ハウサー大佐は確認すると言っていたが、俺はプロペラのない飛行機なんぞ見たコトない」
難しい顔をするクランツだったが
「まぁ、私達には関係ないコトですよ」
とのグラスの投げやりな態度にため息をついたのだった。
ちなみにハウサー大佐はこの部隊の指揮官だ。
現場からのたたき上げらしく厳しいコトで有名だ。
「俺は点検終わったけど伍長は?」
「まだでーす!」
「分かった、じゃあ俺は先に兵舎に帰っているから早く来いよ」
「夕飯無くなるぞ~」
クランツはそう告げてワハハと笑いながら格納庫を後にした。
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