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5日 新大陸沖合
正月早々に日本の舞鶴を出港した海上自衛隊第3護衛艦隊は、旗艦「しらね」を先頭に4隻の護衛艦と輸送艦「おおすみ」を従え、この間まで日本海だった場所を航行していた。
「司令、レーダーにて小型不明艦2隻を確認しました」
その声で「しらね」艦橋の司令官席に座っていた男が振り向いた。
「分かった。直ちに進路を変更してその艦に合わせてくれ。コンタクトをとるぞ」
「はっ、了解しました」
数時間後・・・・・
「不明艦視認!!」
艦橋の見張り所で双眼鏡を覗いていた隊員が声をあげた。
「不明艦接近します.......んっ?あっ、あれは駆逐艦!?」
続く報告に艦内は血相を変えたのだった。
「総員戦闘配置につけ!」
艦長が慌ててマイクに怒鳴り、にわかに艦隊が慌しくなる。
「司令、どうします?使節団の方々はコンタクトをとる気満々ですが・・」
「あちらさんもいきなり発砲はしてこんだろ。ともかく、無線で呼びかけてみろ。ダメなら発光信号でも手旗信号でもなんでもいい。とにかく話てみなくては分からんからな。使節団の方々には俺から話を通しておくから艦長はこっちに専念してくれ」
「はっ、了解しました」
その後、無線も発光信号も試されたが通じず、結局は白旗をマストに掲げて接近し内科艇(ボート)で乗り込むというなんとも古典的な方法をとることが決定された。
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