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アナトリア海軍
D級駆逐艦「 リヒャルト」「ガルスター」
「あの軍艦はどこからきた!!」
「分かりません!!」
「ボスフォラス海軍の軍艦か!?」
「こんなところにいる訳ないだろ!」
駆逐艦のけっして広いとは言えない艦橋で士官たちの怒声が飛ぶ。
水平線から突如として現れた正体不明の艦隊に一番驚いていたのはこちらだった。
なにしろ「リヒャルト」と「ガルスター」は最新鋭とはいえ3500tの駆逐艦、対して不明艦はどう見ても巡洋艦クラスが4隻、10000t級の輸送船と思われるモノが1隻。
マトモに戦って勝てる数ではないからだ。
「あっ!発光信号です!」
艦橋から張り出した見張り所の若い水兵が言った。
「どうだ?読めるか!?」
「・・・・・・・無理ですね........」
尋ねる艦長に通信担当の士官が肩を落として答えた。
「どうなってんだ!無線はイカレるし!」
艦長が腹立たしく海図台を叩いた。
それもそのはず。無線機は数秒通じたが海自の出力が強すぎて焼き切れてしまったのだ。
「不明艦よりボートが来ます!」
再び水兵が報告した。その声で士官たちは一斉に窓際へと駆け寄ると先ほどよりも大幅に近づいた不明艦へと目をやった。
そして「あれがそうか.......速いな」
「ともかく出迎えの準備だ!急げ!!」
発せられた命令によってさらに慌しくなったのだった。
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