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「ほら、また頭に血が上った・・・」
燎治は姫深乃に言われ我に変えり再び歩き出した。
姫深乃「それにお兄ちゃんじゃ後継者は無理だよ・・・多分、後継者は星明兄ちゃんだろうし」
姫深乃はごもりながら燎治の背中に投げかけるが無反応まま歩き続けていた。
「そんなことより今日・・・ほんとに大丈夫?いつもよりおじいちゃんと激しく言い合ってたみたいだったし精神的乱れてるんだったら今日はアタシが―――」
姫深乃が言い終える前に燎治は口を開いた。
「大丈夫だ・・・式を使えるぐらいまでには落ち着いたから」
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ここで本作の陰陽道の説明をしておくと陰陽道に伝わるその秘術の多くはどんなに強力な霊力を持とうが、多彩な術を会得しようが我々、生物が抱く素直な感情、怒り、悲しみや憎しみといった《陰》の感情・・・
喜びや愛といった《陽》の感情の比率によって術の善し悪しが左右されてしまう。
《陰》と《陽》のバランス・・・
つまり感情すべてが術者にとって邪魔になってしまうことがある。
事実、陰陽道を極めようとした者なかには精神崩壊を起こし再起不能となった者が数えきれないほどいる。
燎治は思っていた。
「感情を持つ事を忘れてしまったら俺は、俺じゃなくなり、ただの機械になってしまうんじゃないか?」
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燎治は祖父との些細な言い合いから頭に血が上ってしまい、それを夜風に当たりながら冷ましていた。
「そうだね・・・式は精神状態より式神との信頼関係だもんね…なんとかなるよ♪」
自分でもわかっていた・・・
俺は《陰陽道》ソレに向いていない。
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