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一夜が明け燎治と姫深乃は通う学校は別々だが途中までの道中一緒に登校していた。
もうすぐ冬休みということもあって心なしか行き交う学生達の気持ちは浮ついていた。
燎治「ふあぁぁ~~」
燎治は人目もはばからず大きなあくびを連発していた。
姫深乃「お兄ちゃん!!あくびがでるのは仕方ないけど、口元はちゃん隠さないとゴミがはいるよ!」
燎治は、重いまぶたをこすりながら次は口元をてで塞ぎながらあくびをした。
?「よっ!燎治!」
後ろから声をかけられたが声の主はよく知っている奴なので振り向きもせず返事だけした。
燎治「よぉ~」
精気のない声・・・
そいつは走ってきて姫深乃の横に並んだ。
姫深乃「おはよー!斬慈くん」
斬慈「おはよー…姫深乃…」
犬神斬慈(イヌガミザンジ)は通称、斬慈はツンツンとした黒髪、お世辞にも高いと言えないちっこい背、頬に十字の傷があり笑うと印象的な八重歯、人なつっこい性格、名前の通り犬の印象をうける。
斬慈はひょこっと燎治の顔を覗きこんで何か言いたそうな顔で眺めている。
燎治「なんだ?俺の顔になんかついてるか?」
斬慈「オマエ、昨日も仕事だったのか?」
燎治「あぁ、昨日は散々だった・・・」
燎治は後継者候補として祖父が受ける簡単な仕事を嫌々ながら代行していた。
それのほとんどは低級の悪霊や呪縛霊の退治。
昨夜も一晩中、低級の悪霊との追っかけこで心身共に疲れきっており疲労困憊であった。
斬慈はあることから燎治と姫深乃の事情を知っている数少ない友人の一人である。
斬慈「最近、仕事のペースおかしくないか?」
斬慈は腕を組みながら考え込む。
姫深乃「なんか、最近おじいちゃんが本気でお兄ちゃんのことを当主にしたいらしくて・・・」
斬慈「それでか・・・」
燎治「そんなことより斬慈、オマエは最近大丈夫なのかよ?」
二人の事情を知るきっかけとなった事件から燎治は斬慈ことをいたく心配していた。
その事件の話はまた別の機会にしよう。
斬慈「最近は全然大丈夫だぜ」
斬慈は胸に手を当てながら
斬慈「コイツもおとなしくしてくれてるしな・・・」
姫深乃「でも、安心し過ぎはダメだよ!その心の隙間に付け入ってくるかもしれないんだから!」
斬慈「お、おう…わかったよ、姫深乃…」
斬慈は少し照れながら答えた。
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