0人が本棚に入れています
本棚に追加
なぜなら燎治はごく一般の生活を望んでいるからだ・・・
普通に高校を卒業して普通に大学に入り、普通に就活をしてどこかの企業に就職する。
その為には一般教養を学んでおくのはとても重要なことだ。
陰陽師としての修行より勉学をとる。
祖父とはその事でいつも言い合いになっていた。
燎治は午後の授業も必死に眠さに耐えノートを取り続けていた。
そしてようやく・・・
ようやく、放課後を迎えた。
燎治「疲~れ~た~」
いくら胸騒ぎがして、緊張感が漂っていたとしても燎治からすれば寝てないわ、授業は進むわ、霊感は研ぎ澄ますわで、異常な神経と精神力を使っていてほぼ限界であった。
クラスメート達は部活動であったり、バイトであったりと教室からいなくなって行く。
燎治はクラスメート達に「じゃーな」「また明日」などと挨拶しながら荷物をまとめ机の横にかけているカバンにそれを入れていた。
すると今まで全く感じなかった気配を感じ取った。
しかも自分の真後ろに・・・
言い訳になるかもしれないが流石に油断していた。
ゴクンと生唾を飲み込みゆっくりと燎治は振り返る。
これだけ、捜しても見つからなかった奴がこうして燎治の前に現れたということはなんらかの目的が有るに違いないと確信していた。
例えば、殺しにきたとか・・・
燎治が完全に振り返るとそこにはずぶ濡れになった女子高生がすぐ背後に立っていた。
真冬だというのに女子高生は夏服をきていて、ピンクの花柄のブラジャーが確認できた。
いや、今は関係ない・・・
そしてすーっと目線をあげると、首を両手でしっかりと抑え、とても苦しそうに鬼のような形相で睨む女子高生のがいた。
女子高生は燎治の顔、いや瞳を覗き込むような形で前かがみになる。
その距離、五センチ弱・・・
異常に近い距離だ・・・
ドクン、ドクン・・・
「ヤバい殺される」と思い脈を打つ心臓の音は異常だった。
するとその女子高生はすっと状態を戻した。
その時の女子高生の目には涙が溢れ何か物言いたげに口をパクパクとさせていた。
燎治「なんだよ…」
燎治はその状況を飲み込めずにいた。
最初のコメントを投稿しよう!