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帰宅の路に着くまでの道中、龍一はずっと考えていた。
自分が得た超能力とは、いったいなんだろう。
老婆曰く、どのような能力に目覚めるかはわからないとのことだった。
サイコキネシスやテレパシーのような、オカルトでもポピラーなものだろうか。
それとも厨ニぽい個性的な能力だろうか。
スタ○ドやミュータントのような。
もしかしたら○輪眼とかギ○スとかは……ないだろう。
それに強い弱い、使える使えないも大きな問題だ。
せっかく得た超能力でも、鉛筆を転がす程度のサイコキネシスや、長年連れ添った夫婦が「あれ取ってくれ」「お醤油ですね」みたいなテレパシーではガッカリにもほどがある。
だが希望は白昼夢で見たドラゴンだろう。
きっと自分に目覚めた超能力は、ドラゴンに関係した能力だろう。
しかし一方で不安なのは、降り注いできたパンツである。
新しい趣味が同時に不安を扇いだ。
「パンツか……」
呟きながら視線が近くを歩く女性に向けられた。
どこかの会社員であろうか。二十歳ぐらいの女性が、スーツに短いタイトスカートを穿いて龍一の前方を歩いていた。
自然と龍一の視線が女性の下半身に向けられる。
スカートから伸びる美脚が綺麗だった。ヒップも形が良い。
いったい彼女は、どのようなパンツを穿いているのだろうか。
やはり大人っぽいレースのパンツだろうか。
白だろうか、黒だろうか、それとも情熱の赤だろうか?
ノーパンなんてあり得ないだろう。そんな変態だったらガッカリする。
パンツは文化人の嗜みとして穿くべき代物だと思う。
龍一は、そのような妄想を巡らせながら真っ直ぐに歩く。
女性は龍一が向かう道とは別のほうに曲がっていた。
何故か名残惜しさを感じる。
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