ドラゴンとパンツと闇の謎

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一枚目。少年の顔がアップで写っていた。 「あら、若い子、少年ね。けっこう可愛いわよ。高校生ぐらいかしら」 そう言いながら携帯電話の画像を少女に見せるが、少女は興味なさげに微笑むばかりであった。 スーツの女性は心の中で、まだまだおこちゃまか、と思いながら詰まらなそうに携帯電話を引っ込めた。 二枚目の写真をチェックする。 「よし、これはいいわね。自宅かしら。一戸建てが写っているわ」 三枚目は、学校の写真だった。 その学校の風景には、見覚えがあった。 「これ、蓬松高校ね。ここの生徒かしら」 更に四枚目には――。 「何、これ……」 携帯電話の画面を見つめながらスーツの女性が顔を顰める。 巫女服の少女は、彼女の表情を見て首を傾げた。 「どうかしましたか、夏子さん?」 「こんな写真、初めてじゃない?」 携帯電話の画面を巫女服の少女に向ける。 少女が目を凝らす。 そこに写っていたものは、ただの黒。 「闇……?」 二人の間に、嫌な空気が流れ始めた。 「夏子さん。皆さんを集めて話し合ったほうがいいかもしれませんね」 「何よ、悪い暗示なの、これ?」 もう一度、携帯電話の写真を見つめるスーツの女性。 巫女服の少女が言った、皆との話し合いについて気が進まなかった。 あの変態達全員と一箇所に集まる。それが不快なのだ。 しかし、巫女服の少女が見せる不安そうな表情に、考えを改める。 「わかったは……、三日月堂に相談してみる」 「お願いします、夏子さん」 「じゃあ、私は行くわね」 踵を返して境内を歩き出すスーツの女性。鳥居をくぐるともう一度だけ携帯電話の画像を確認した。 闇、学校、家。画像を戻してく。 そして、少年。 「まずは、この少年の居所を突き止めてからかしらね。これだけのヒントがあれば直ぐに見つかるわ。他の連中は後回しね」 スーツの女性は、携帯電話をスーツの内ポケットに戻す。 鳥居の先にある石造り階段。百段近くを降った先に、赤いスポーツカーが停車してある。 高級な外車だ。 彼女の眼前に広がるのは、夕日に染まる橙色の町並み。 そこは、素度夢町。 超能力をプレゼントされた、異能者達が住む町である。
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