登校と下校と異能者達

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「それでは全員集まったことだし、定例会議を開始します」 一番奥の優男が言うと、そっぽを向いていたチャラ男が、機嫌を回復させたのか訊く。 「三日月堂~、それにしてもいい場所ゲットしたじゃねえか」 ケバイ女が続く。 「そうそう、今まで定例会議を開くのがファミレスとかだったから、正直なところ恥ずかしかったんだよね」 「食事も飲み物も出るから、いいかなーと思ってたんだけど、三神さんに指摘されて、急遽ここを用意したしだいで。しばらくは、ここが使えるから」 優男が苦笑いを作りながら頭を掻いて言う。 「なんだ、刑事さんもそう思ってたんだ、ファミレス会議」 「話す内容が内容だからね。他の客が怪しそうにチラチラみているのよ。恥ずかしったらありゃしないわ」 スーツの女が困ったような顔で答えた。それに続いて今度は不健康そうな青年が話し出す。 「僕はあんな時以外は、ちゃんとした食べ物を食べないから、よかったんですが……」 向かいに座る痩せた男を見ながら哀れそうに言う女刑事。 「あんた普段何食べてるの……。ファミレスのご飯がまともなご飯だっていうの……。うちの男性刑事たちと一緒ね」 彼女は健康に厳しい。バランスの良い食事を自分で作り、適度な運動も欠かさない。ナチュラルな健康マニアである。 「普段は仕事で、家に閉じこもっていますからね。食事の殆どがカップ麺ばかりになってしまって……」 「売れない小説家も大変ね」 ケバイ女が哀れそうに言う。本当のところは気に留めてないのが口調から察しられた。 彼の仕事は小説家であるが、売れてない。最近まではバイトで食いつないでいたぐらいである。 「そんなことは、どうでもいい。会議を始めんか!」 厳つい中年男性が、黒縁眼鏡を中指で上げながら言った。 真面目そうな人格が一言でわかる。 そのあとは腕を組んだまま一言も発しない。 「では、会議を始めます。先ずは報告をお願いします」 三日月堂が述べるとチャラ男が我先に手を上げた。手柄をあげたことを子供の如くアピールする。 「はーい、はいはいはーーい!」 「はい、では、花巻君」 チャラ男は席を立ち自慢げに語り出す。 「昨日頼まれた蓬松高校の件、さっそくかたづいたぜ」 親指を立てて前に突き出す。満面の笑みだ。
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