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「それはそうとよ。そろそろ今月分の生活費、振り込んでくれねー?」
空気を無視した花巻が、そう言いながら親指と人差し指で輪を作って見せると、下品に微笑む。
「わかりました、近日中に原稿を三日月堂さんに渡しときますよ。あはは……、換金お願いします」
答えたのは売れない小説家だった。
三日月堂が「はい、わかりました」と返す。
「では、そろそろ夜も更けてきた、中学生もいるのだから解散の時間だろう」
渋い声で言ったのは、堅物そうな中年男性だった。
会議中は腕を組んだまま一言も発しなかったが、最後の最後で発した言葉には威厳が感じられた。
そして、席を一番に立つ中年男性。
ビシッと決めたスーツ姿だったが、中年男性の下半身はすっぽんぽんであった。
男らしくズリ剥けたナニが揺れていた。
何も穿いていない。
それでありながら微塵も恥じていない。堂々と胸を張っていた。
流石の光景に、女刑事と巫女服の少女が視線を逸らすが騒ぎ出す素振りはなかった。知っていたのだろう。
「朝富士さん、そのまま帰るのですか……?」
「馬鹿を言え、三日月堂!」
朝富士と呼ばれた厳つきも堅物そうな中年は、頑固そうに反論する。
「私は変態だが、モラルを心得ている。地位も名誉も家族もいる変態だ。こうして下半身を開放して心置きなく露出するのは、キミらのような理解ある人物たちの前だけだ。一般市民の前では、恥ずかしくはないが絶対に行なわない。何が犯罪に当たるかぐらい心得ている。詰まらん質問を控えてくれたまえ!」
なんとも堂々とした発言だったが、皆が苦笑っていた。
「心得ているなら、早くズボン穿いて帰れよ……」
花巻の言葉は、ごもっともである。
「そうだな。女性人の前だが失礼してズボンを穿かせてもらうよ」
そう述べてテーブルの下に置かれたズボンとパンツを穿き始める。
これを最後に、今宵の秘密結社会議が終了となった。
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