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素晴らしい超能力を得られるならば、多少の変態趣味に目覚めても我慢できよう。
だが、なんの役にもたたないゴミのような能力を授かったうえに、ウンコを愛でるような趣味に目覚めたら、それこそ人生が終末を遂げてしまう。
実に悩ましい。
この天秤のバランスは、博打の要素が高い。
龍一は、喉を唸らせ悩みに悩んだが、やはり結論は一つだった。
それでも超能力が欲しい。
龍一の覚悟が決まる。
少年が老婆に向かって深々と頭を下げた。
「僕に、超能力を下さい。僕を異能者にしてください!」
礼儀を正した龍一に白髪の老婆が微笑む。
「後悔しないわね?」
「はい!」
頭を下げたまま大きく返事をした。
その頭に老婆が皺だらけの細い両腕を伸ばす。
軽く両手を頭に乗せた。
「じゃあ、貴方は今から私たちの仲間よ。今日から異能者よ」
龍一の頭の中で、何かカチッと音がした。
鼓膜から伝わって来た音でない。
心の中で鳴った音のようだった。
それと同時に、脳内が白く染まる。
視界も白く染まった。
すべてが純白に染まる。
まるで白紙のキャンバスのようだった。
そこに何かが現れた。
遠くから何かが飛んで来る。
クネクネと長い体を呻らせて飛んで来る。
蛇じゃない。
龍だ。
ドラゴンだ。
「これが、僕の超能力か……」
飛んで来る飛龍は、短い両腕に何かを抱えている。
よく見れば、ドラゴンの表情は歓喜にあふれていた。
目を凝らす少年。
その上空をドラゴンが渦を巻くように飛び回ると、抱えた何かをばら撒いた。
何かがフワフワと沢山落ちて来る。
「こ、これは!?」
白、黒、赤、ピンクに水色。
それは、色取り取りのパンツ。
乙女の羽衣。
すべて女性用の下着だった。
龍一は綿雪のように降り注いでくる女性用の下着の中、ヨン様もビックリなほどの笑みで、両腕を広げながら微笑んでいた。
「パ、パンツだぁ~~」
言葉の語尾にハートマークが咲いている。
こうして少年の新しい変態物語が始まった。
変態異能者物語のスタートである。
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