第1話

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でも今思えば、このときの自分はさゆりの言うとおりマセていたと思う。 『こんなガキっぽい遊び……』 そう言ってる自分が、周りより大人なんだと思っていたかったんだろう。 「も~う、じゃあわたしは行ってくるよ?」 「うん。早く行きな。時間なくなっちゃうよ」 わたしは軽く微笑む。 さゆりはわたしのことを気にして、いつも自分だけクラスの輪に入るのをためらう。 さゆりは、わたしもクラスのみんなも好きで でもクラスに馴染めないわたしを心配して、わたしのそばにいようとしてくれる。 でも、わたしは別に一人で平気だし てか、休み時間は本を読んでいるから さゆりには、自分のしたいことをしてほしいと思っている。 だからわたしは、さゆりが気にしないよう、濁りのない笑顔を見せる。
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