第1話

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「そんじゃ、行ってくるね。あっ!もし気が向いたら、紅亜もおいでねっ」 「気が向いたらね」 わたしはクスクス笑って、さゆりの後ろ姿を見つめる。 ありがとね、さゆり…… そう心で呟き、本に集中する。 ――――。 「ただいまぁ~」 靴を脱ぎ、リビングに向かう。 「おかえり、紅亜」 お母さんはわたしの顔を見てから、また家事に集中する。 わたしはその辺にランドセルを置き、ソファに座る。 「ちょっと紅亜~。ランドセルは自分の部屋に置きなさいって、言ってるでしょ」
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