第1話

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「あとで。部屋行くのめんどい」 「もう……」 小さくため息をつき、お母さんが包丁で何かを切っている音が聞こえた。 「いただきまぁーす♪」 晩飯ができ、テーブルの上に並べられたご飯を一通り見て、手を合わせる。 「うん、おいしい♪」 「紅亜……」 わたしの明るい声とは裏腹な、低く落ち込んだ声。 「ん?」 「ご飯食べ終わったら大事な話あるから、食べ終わっても席を立たないでね」 「うん……」 いつもとは違う、お母さんの緊迫したまじめな表情を見て、わたしの顔からも笑顔が消えた。 大事な話……って、何だろう……? .
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