第1話

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さゆりは優しいから、一人でいるわたしを心配して、一緒にいるだけではないのか…… もしそうだったら、さゆりに面目無いと思って、わたしはいつの日か、思い切って聞いてみたことがある。 『わたしといて、つまんなくないの? わたし、おしゃべりじゃないし……』 『つまんなくないよ。だってわたし、紅亜のこと好きだもん』 一瞬、嘘だと疑った。 優しいから、本当のことしゃべれないんだって。 でも違った。 そのときのさゆりの目は、嘘をついている目じゃなかった。 わたしはさゆりが本当のことを言っているとわかり、だんだん体が熱くなってるのがわかった。 『あはは! 紅亜、顔真っ赤だよ。何、照れてんの~』 その日は、2人で大笑いした。
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