42人が本棚に入れています
本棚に追加
「こちらが報酬となります」
いつも通りに依頼をこなした俺は、いつも通りに報酬を受け取る。
……とは言っても、報酬はギルドカードというものに振り込まれるため、受け取るのはその内訳の紙のみだ。
「またよろしくお願いしますね、『蒼天の虹』様」
かしこまった態度で受付の娘は言う。
その変に敬った態度に、違和感を覚えた俺は、あははと笑いながら応えた。
「いつも通りに呼んでよ、アイリ」
見知られた顔だというのに敬語を使われると、くすぐったい気持ちになる。
そんな気持ちが表情に出てしまったのか、アイリはふふっと口に手をやり、可愛らしく笑っていた。
「Sランク昇格、おめでとうワタル」
俺は満足気にコクリと頷く。
―――――『蒼天の虹』……か。
遂に俺も世界中で噂されるような存在になったんだな。
最初のコメントを投稿しよう!