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カッチッカッチッカッチッカッチッカッチッカッチッカッチ……。
えーと。
つまり、ここがどこかも、帰る方法も解らないってこと?
問う僕に眉根を寄せた教授。
怒ったのじゃなく、困ったんだろう。
なぜかそう感じ、少し僕は反省した。
教授にしてみたら、勝手に部屋に入って来て、勝手な文句を言っているってことなんだろうなぁ。
カッチッカッチッカッチッカッチッカッチッカッチッカッチ……。
「あー、差し当っては君さえ良ければ暫くは此処にいると良いだろう。
無駄に広い館であるから、好きな部屋を使うと良い。
なに、そう気落ちするでない……人間とは為せない事は無い様に出来ておる。
奇跡すら初めから人間に組み込まれておる特権なのだからなぁ」
沈黙を破り、そう言うとまたグリュックさんを呼んで僕の部屋の手配をしてくれた教授。
恐ろしそうな外見(気味悪いとすら思ってごめんなさい)とは違い、優しい教授に感謝とお詫び。
少し落ち着いた僕は改めて疑問を口にした。
「ん? あぁ先程の光か……あれは魔術だよ。
何? そんなモノが本当にあるのか……だと?
それこそ先程見た通りだな。
魔術はあくまで理論であるからな、奇跡とは違い知ってしまえば行えるものだよ」
クックックックと喉を鳴らすように笑う教授。
やっぱり知らなきゃ気味悪いです教授……。
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