29人が本棚に入れています
本棚に追加
――知れば迷い
知らねば迷わぬ
恋の道――
俺は久しぶりに自分の作った句を見返していた。
こうやって句集を見返せば、多くのことを綴っていた。
「土方さーん!!失礼しまーす!!」
声が聞こえたと思った瞬間、突然戸が開いた。
「!!!―‐ッ!と、突然なんだっ!勝手に入ってくんじゃねぇええ!!!」
入って来た奴は大袈裟に両手で耳を塞ぐ。
俺は机に出していた句集を急いで閉まった。
「なんでそんなに怒鳴る!?耳がおかしくなるわ!」
「うるせぇ!!…何の用だ。」
俺の顔はたぶん赤い…
それがこいつに気付かれないといいが…
「何の用って、仕事の話に決まってるでしょう?」
こいつには山崎と一緒に監察の仕事をやっている。
どうやら潜り込んでいた遊邸で収穫があったようだな。
ふと顔を見ると、監察の仕事の時の顔になったのが分かった。
こいつは仕事となると変わる…その変わり様に俺は興味を持ったのだ。
「土方さんが目を付けたあいつら…黒だったよ。」
「やはりな。」
目の前の女は真っ直ぐ俺を見た。俺もその目を反らすことなく見つめ返す。
「詳しいはな「それは山崎さんから聞いてください。」…はぁ!?」
「私疲れたんで休みます!それじゃっ!」
俺は部屋を出て行こうとするこいつの腕を掴んで引っ張った。
そのまま俺の中にすっぽりと収まるかたちになった。
・
最初のコメントを投稿しよう!