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「!!!ちょ…土方さん!?」
驚きの声を上げるが、俺はこんな好機を逃すはずがない。
右手で頬に触れ、顎を持ち上を向かせた。
「…しばらくは着飾ったお前に会えねぇのは寂しいもんだな。」
顔が互いの息遣いが分かるほどまでに近づいた。
「……土方はん…。」
俺は心臓が跳ねた。
何故ならこいつが急に色気を纏ったから…。
手が俺の頬に触れる。
「嬉しいことゆうてくれはりますなぁ…土方はんの為ならうちは、何時でも。」
耳元で囁き、ゆっくり離れた。
離れた後俺は思わず手が緩んだ。
すかさず、俺の腕からすり抜けていった。
「じゃ、お休みなさ~い!」
「……チッ…。」
この俺があいつの色気に呑まれるなんてな…
さすがに…さっきのはまずかった。
―‐あいつも他の女みたいに直ぐに俺に堕ちればいい…
俺はきっと、自分が思っている以上にあいつのことが好きなのだろうと思う。
あいつは気付いていないだろう…
―‐俺のこの気持ちに
狂おしい程のこの気持ちに
あいつを知れば知る程、俺は深みにはまっていく
――知れば迷い
知らねば迷わぬ
恋の道――
―‐俺は自傷気味に笑う
窓から吹く風に
身を委ねた…
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