菓子争奪録

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「あとは簡単だったよ…あんたが玄関から離れたのを確認して入り、昨日案内されたほうと逆に進めばいいことだ。わざわざ会わせたくない人の近くに案内するやつはいないからな。案の定分かりやすく『奥様』っていう掛札が直ぐに見つかったよ。」 「クソ!」 「それよりあんたは何故子供が嫌いなんだ?」 執事は語り出した。 「子供が嫌いなわけじゃない。ただ子供は奥様に悪さをする…そういう輩がこれまで沢山いた。だから子供を近づけなかった。」 「トラウマか…」 そこへ結城が部屋から出てきた。 「菓子を貰って来たぜぇ~」 「え?菓子?」 「あぁ…アイツは菓子を貰うためだけに来たんだ。」 「それだけなのか?」 執事は尋ねた。 「はい。執事さんもありがとうございました。」 結城は笑顔でお礼を言った。 「世の中そんな廃れた子供ばっかじゃないぜ…現にこうやって地域との交流を無邪気に楽しむ子供もいる。」 孝は言った。 「こちらこそ…ありがとう。お陰で目が覚めたよ。」 執事は若干目に雫を溜めながらいった。 「めでたしめでたし。」 喋る出番が少ないアルカリに最後はしめさせた。
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