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【NY市警内】
「よぉ~」
ジェスは署長室へ向かいながら、仲間の署員にいつも通りに怠そうに挨拶を行った。
「よぉ。
マッカランがお待ちだぜ」
紙コップのコーヒーを飲みながら、長い付き合いである同僚のロドリゲスがジェスを見てニヤリと笑顔を浮かべた。
「ああ。
クソマズイ朝飯の誘いが入ったよ」
ジェスは苦笑浮かべつつ肩を竦めた。
「かなりこってりした朝飯になるだろうよ。
うんじゃ俺は行くからよ」
「お前がうらやましいぜ。
歌姫様の脅迫事件って事で、毎日別嬪さんのツラ拝めるんだからよ」
ジェスがぼやく様にロドリゲスへ告げると、ロドリゲスはくそ真面目な表情で
「そりゃ・・・。
歌姫様に釣り合う捜査官のツラと知性って言えば、俺以外の適任はいないぜ?
もっとも、狂ったブルドックのお前じゃ不可能な事件さ。
んじゃ、マッカランとのランデブー楽しみな?」
見方によっては、トムクルーズに10%は似てる程度のロドリゲスは口笛を吹きながら、ジェスへ片手を上げて去って行った。
「何がツラだ・・・ボケェ」
ジェスは悪態を尽きつつも、長年の付き合いであるロドリゲスへ、ニヤリと笑い、署長室へと向かった。
ジェスは署長室のドアを軽くノックした後に、マッカランの返事を待たずに署長室へとツカツカと入って行った。
「おはよう。
まぁ、ちょっと座ってくれ」
と無表情にジェスに告げるマッカランの机には、朝食等ある筈も無く、何枚かの書類が置かれている。
「マッカラン・・・いや、署長。
朝飯は? パンケーキすら無いってのはどういう事なんです?」
「これがお前の目を覚ます朝飯だ」
マッカランは無造作に机に置かれた書類をジェスに放り投げていた。
「俺は羊じゃ無いってのによ・・・」
とぶつぶついいながらジェスは手渡された書類に目を通した。
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