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《砂漠緑化プロジェクト》
《高温・乾燥地帯に於ける新品種の開発プロジェクトは既に臨床試験の段階を終えている》
《遺伝子を組み替えて作る植物と、その種子を埋める場所を、品種改良された微生物が大量に含まれる土壌に変える事で、その種子は寒暖激しい環境にも適応力が上がるとされる》
《ロニー・ハウエル教授が推し進める、このプロジェクトは近い内に起こりうる将来の食料不足に対する事態に対しての問題解決の一端となるであろう》
「・・・・・・・」
ジェスにとっては馴染み無い専門的な事が書かれたメモをざっと見終えると、そのメモを署長の机に戻した。
「署長・・・こりゃ何です?
朝っぱらから訳の解らん論文みたいな物読まされて。
食料がどうのこうの書かれてますが、これじゃ朝飯にもなりゃしねぇ」
マッカランは軽く溜息を尽きながら
「俺もさっぱりさ。
だがな、このロニー・ハウエル教授って奴が、誘拐された可能性が高いって情報が入った。
ロニーは今日、国連本部で演説を行う予定だったらしいが、昨日の夜からホテルに戻って無いと、ロニーを迎えに行ったスタッフから連絡が入ったって訳だ」
とジェスをじっと見つめながら事の経緯の説明を始め出した。
「つまりこのロニー教授が持つ技術なり知識を狙って誘拐した・・・
って事になる訳ですか。
誘拐犯からの要求等は?」
「今の所、何も確認されて無い。
ロニーを誘拐した連中の見当すら付かないって感じだ」
マッカランは両手を上げてお手上げの姿勢をわざとらしく見せている。
「ん?
ロニーはアメリカ人じゃ無くて、イタリア人なんすね。
しかもイタリアではかなりな著名人・・・
こりゃ下手したら国際問題になるんじゃ」
ジェスは再び手にした、ロニーのメモを眺めていた。
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