第1章 リアル

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なぜそこまで自分を応援してくれるのかと、愛は岩田に、一度尋ねてみたことがあった。岩田は、恥ずかしいような、困ったような、何とも言えない表情を浮かべながら、ぼそっとこうつぶやいた。 「は、初めて会った時……。あ、愛ちゃんは……、ぼ……、僕のような者にも丁寧に接してくれた。き……君が、笑うとこ、喜んだ顔、いつも見ていたいんだ」 「岩田さん……。」 愛は、岩田の純粋な気持ちがただ嬉しかった。 「あたしは、このまま売れないかもよ」 愛が、冗談めかして岩田にそういうと、愛がアイドルを続ける限り、自分は応援し続けるし、他のアイドルには一切興味がない、岩田はそう言い切った。 (人数は少なくても、こんなあたしを応援してくれている人がいる。その人達にまだ、あたしは何の恩返しも出来ていない。それなのに、こんな中途半端な所で辞めれない。辞めるわけにはいかない) 愛の目に、再び力が戻っていた。
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